2014年04月03日

お気に入りの本『おはなし会ガイドブック』

おはなし会ガイドブック―小学生向きのプログラムを中心に

『おはなし会ガイドブック―小学生向きのプログラムを中心に』
茨木啓子・平田美恵子・湯沢朱美〔編・著〕
こぐま社(2003)

 この本で「プログラムづくりこそがお話会の成否を決める」のひと言に出会って、私がぼんやりと感じていたことが、目の前のもやが晴れるようにスッキリとしました。
 子どもたちは大人に気を遣い、楽しくなくても「たのしかったです」と言うもの、もしくは言わされていると小学校で読み聞かせなどを通して感じ、どうしたものかと思案していました。子どもたちが心から「あぁ、楽しかった」と思えるお話会にするには、考え抜かれたプログラムがあり、お話のチカラがあってこそなんだ、とこの本が教えてくれました。
 

 これまで、私のつたないストーリーテリングでも子どもたちに受け入れてもらえたのは、もともとお話が持っていた「お話のチカラ」があったからでしょうし、それは対象の学年を思って真剣に選んだ結果でもあると自負しています。
 絵本の読み聞かせにしても、ストーリーテリングにしても、対象が何年生であるか、実施する季節はいつなのか、その子どもたちの状態はどうか、など絵本やお話を決める前に予め考えなくてはいけないことがたくさんあるものです。その準備が大切だと言ってくれるこの本に、私はどれだけ救われたかわかりません。

 「楽しければいい」という風潮がテレビだけでなく、世の中全般に広まっている気がします。お話会を開くサークルにも、そんな空気を感じることがあります。読み聞かせに持っていく本にしても、季節感が重視されていないこともしばしば。でも、そんな浅はかなことでは「本当の美しさそして本物を見抜く目」を持つ子どもたちに何が伝わるのでしょう。子どもに伝わるのが「ぼくたち・わたしたちのために何か一生懸命やっているんだな」という「努力する大人の姿」だけだとしたら、それは本当のお話会と言えるでしょうか。

 子どもたちが心から「楽しかった」と思えるように、本と子どもに関わるものにはまだまだすることがあるように思います。

posted by ブリッジ at 12:01| Comment(0) | お気に入りの本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年08月22日

『小学校での読み聞かせガイドブック―朝の15分のために』

小学校での読み聞かせガイドブック―朝の15分のために

『小学校での読み聞かせガイドブック―朝の15分のために』
プランニング遊・刊(2012)



 この本に出会ったのは、ツイッターのおかげ。「これは!」と目を見張るくらい、学校でボランティアとして読み聞かせをする人への配慮の行き届いたガイドブックです。


 ボランティア団体の悩みのひとつに、スキルアップしたい人とそうでない人のどちらもいて、なかなかおおっぴらに「勉強していきましょう」と言えない雰囲気があること、があると思います。それはボランティアとして何を目指すかが人によって違う、という現実があるためだと考えられます。


 しかしながら学校という教育現場で読み聞かせをするなら、そして家庭ではなく集団としての子どもを相手に読むなら、「配慮しなければいけないこと・大切にしたいこと」があるはずです。それを声高にではなく、場数を踏んだ先輩として温かい気持ちを持って教え・諭してくれているような雰囲気をこの本には感じます。


 加えて、編著者の4名の方々のお考え、「小学校での《絵本の読み聞かせ》とは、"子どもたちに、よい絵本に出あわせるため”のものであり、そこで取り上げられる絵本は、選ばれたものでなければならない」に私は大いに共鳴します。


 私の所属するボランティア団体には1年前の会報で本書の案内をしていましたが、今年の春に実物を寄贈してくださった方がありました。それ以降、個人的に購入するメンバーが増えました。「集団への読み聞かせ」に目を開くきっかけを与えてくださった贈り主Jさんに、深く感謝します。Jさんには、遠くから講演会の講師として私の住む町にお越しいただきました。その節は本当にお世話になりました。


 学校だけでなく、図書館などで読み聞かせに関わっていらっしゃる多くの方にも、手にとっていただきたい1冊です。

posted by ブリッジ at 10:35| Comment(0) | お気に入りの本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年03月31日

お気に入りの本『マドレンカ』

マドレンカ
『マドレンカ』
ピーター・シス作、松田素子訳、BL出版刊(2001)


 日本語での表記だと違っているのに、アルファベットになると「あれ?似てる」と思える名前がたくさんあることに気がついたのは、高校で世界史をとっていた頃。その後、キリスト教徒の名前は聖書にでてくる人物に由来することが多いことを知り、また言語によって一つの名前が違う呼ばれ方をすることも知りました。たとえば英語圏のピーター君はドイツ語圏ではペーター君であり、ロシア語圏であピョートル君であり、フランス語圏だはピエール君なんです。ちょっとした空き時間に心の中で、一つの名前をどんどん違う呼び方で呼ぶことが、私の趣味になりました。

 そんな変わった趣味の私が出会った『マドレンカ』という絵本。マドレンカとは、チェコ語で聖書に出てくるマグダラのマリアに由来する名前です。マドレンカちゃんは、ご近所になかよしがいっぱいいます。舞台はニューヨーク、ご近所さんたちは、さまざまな国からやってきた人たちのようです。なぜなら、みんながマドレンカのことを「マドレンカ」ではなく、自分のよく話す言語の呼び名で呼ぶんです!

 
 読み聞かせに持っていくと、人によって違う呼び方をすることに最初は疑問を感じる子どもたち。でも、マドレンカちゃんがあるニュースを次々といろんな人に伝えていくうち、そして次々といろいろな呼ばれ方をされるうちに、絵本を見ている子どもたちは気がついてくれます。いろいろな呼び方だけれど、マドレンカちゃんのことを言っているんだと。本を読み終わってから名前の秘密をタネあかしすると、日本にはない感覚に子どもたちは新鮮なおどろきを覚えるようです。

 ところでマドレンカちゃんがふれ歩く「あるニュース」とは、一体なんでしょうか?子どもにとっては一大事なんです!この本をぜひお手にとって、そのニュースをマドレンカちゃんから聞いてみてください。ピーター・シスの甘くないけどファンタジックなイラストも、どうぞゆっくり味わってくださいね。
posted by ブリッジ at 02:14| Comment(0) | お気に入りの本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする